日本法 – ダンス教室での音楽

我が家の娘(4歳)は毎週ダンス教室に通っている。ダンス教室に行くと耳慣れた音楽が流れてくる。ポップやアニメが中心でおり、子供たちは喜んで踊っている。ほほえましい状況なのだが、ダンス教室で、著作権者の許諾なくその音楽を流すことは、著作権侵害になる可能性がある。著作権者の許諾は得ているのだろうか?得ているとしたら、その対価はいかほどなのだろうか?調べてみた。

こういうことを考えてしまうのは、自身が法律家だからだろう・・・。知らないことは知りたくなるものだ。

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海外 – 銀行業等の域外適用

海外にいると、海外法ばかり気にしてしまう側面がある。ブラジルにいればブラジル法(連邦国家だが、連邦法の守備範囲が広い)、コロンビアにいればコロンビア法、アメリカにいれば各州法および連邦法を気にしてしまう。というところ、日本企業出資や日本企業の子会社等に相当する場合に、日本法の規制がかかることを忘れてしまうのは、「灯台下暗し」のようだ。

というところで、特に規制が厳しい金融業に関する域外適用についてここで大まかに分析してみる。

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日本 – M&A:FinTech事業:ソフトバンク・One Tap BUY

ソフトバンクが最近(2016年7月下旬時点)M&Aで日本を騒がした。ARMという英国会社をおおよそ3.3兆円という日本企業が行う史上最大規模のM&Aを行ったからだ。というなか、ソフトバンクが、既に2016年3月に、スマートフォンでの利用に特化した証券会社 One Top BUYという日本の証券会社に出資した。

以下、日系FinTechの記事を引用する(原隆氏・岡部一詩氏)。そのうえで、本件の法的問題点について考えてみたいと思う。

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日本 -資金決済法「通貨」・LINE事件

2016年5月18日付日本経済新聞に以下の記事が出ていた。

無料対話アプリのLINE(東京・渋谷)のスマートフォン(スマホ)のゲームで使うアイテム(道具)をめぐり、関東財務局が資金決済法上の「通貨」に当たると認定していたことが18日までにわかった。通貨と認定されると、未使用残高が一定額を超えた場合に半額を法務局などに供託する必要がある。ゲーム利用者への影響はないという。

千葉県浦安市で開かれたLINEカンファレンス

(千葉県浦安市で開かれたLINEカンファレンス)

資金決済法は、事前に代金を支払って商品やサービスの購入に使うプリペイドカードや商品券などを「前払式支払手段」と位置づけている。前払い式支払い手段では発行会社の破綻に備え、利用者が購入後に使っていない残高が1000万円を超える場合、半分を法務局などに供託することを義務付けている。

同局の認定により、LINEは未使用残高の半分を供託する必要があるが、同社が銀行などと保全契約を結ぶ方法でも代替できる。LINEは「当局の要請で検査の内容や結果などは開示できない」としながらも「(当局の)指摘については誠実に対応する」としている。

I – 事件の経緯

  • 2008年9月30日:LINE株式会社(以下「LINE」)前払式支払手段(第三者型)発行者登録(関東財務局長第00607号)
  • 2012年11月19日:LINE『LINE POP ~ブラウンのクッキー~』のサービスを公開
  • 2012年12月1日:上記ゲームにつき、1000万DL達成
  • 2013年1月24日:上記ゲームにつき、2000万DL達成
  • 2016年4月6日:LINEの運営する『LINE POP』などのゲーム内の一部アイテムが、資金決済法の定める通貨に該当し、「前払式支払手段」に当たるとし、「規制内容に抵触する疑いがある」として、関東財務局が立入検査を行った旨の報道
    • 『LINE POP』というオンラインゲームには、ルピーという通貨があり、ルピーという通貨によって「宝の鍵」を購入し、「宝の鍵」 によって宝箱を開けることによって、ゲームを有利に進められるアイテムを入手することができる。ここで問題となっているのが、「宝の鍵」も二次仮想通貨にあたり、資金決済法に沿った運用が必要だったのではないかという点である(もしそうであるならば、LINEは、一定の金額を供託しなければならないことになる)。
  • 同日:「ゲーム内で販売されるアイテムが前払式支払手段に該当するか否かは、判断基準が明確ではなく、専門の法務担当ならびに必要に応じて弁護士に相談し判断している」
    「関東財務局の立ち入りは前払式支払手段発行業者に数年に一度定期的に行われているもので、今回の疑いとは無関係」とのLINEのコメントあり

    • これに伴い、これに関する報道はすぐに収束状況になった。
  • 2016年5月18日:上記新聞記事(同日以前に関東財務局による「前払式支払手段」との認定あり)

II – 問題点とその整理

本件は、LINEの運営するゲーム内の一部アイテム(「宝の鍵」)が、資金決済法上にいう「前払式支払手段」(資金決済法第3条第1項・下記赤字・太字は筆者による追記・変更)に相当するかが問題となった。「前払式支払手段」とはテレホンカードや商品券、プリペイドカードの類であるが、電子マネーのように有体物に付着しない、単なるデータであってもこれに該当する。前払式支払手段には、(1)発行者とその子会社等に対してのみ使用できる自家型と、(2)第三者に対しても用いることができる第三者型の二種類があるものの、残高が1000万円以上の場合、前者は「届出」、後者は「登録」をしなければならないとされている。

資金決済法第3条第1項

この章において「前払式支払手段」とは、次に掲げるものをいう。

一 (1) 証票、電子機器その他の物(以下この章において「証票等」という。)に記載され、又は電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。以下この項において同じ。)により記録される金額(金額を度その他の単位により換算して表示していると認められる場合の当該単位数を含む。以下この号及び第三項において同じ。)(価値の保存)(2)応ずる対価を得て発行される証票等又は番号、記号その他の符号(電磁的方法により証票等に記録される金額に応ずる対価を得て当該金額の記録の加算が行われるものを含む。)であって、(対価発行)(3) その発行する者又は当該発行する者が指定する者(次号において「発行者等」という。)から物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために提示、交付、通知その他の方法により使用することができるもの(代価の弁済=権利行使)

第1に、「宝の鍵」の数量については、ゲーム中にデータとして保存されていることから、これにつき価値の保存がなされていることについては争いがない。

第2に、「宝の鍵」は、財産的価値を有する「ルビー」(これについて財産的価値を有するということ、これ自体が「前払式支払手段」に相当することについては争いがないと思われる)を支払うことによって入手できる以上、対価を得て発行されるということについても争いはないように思える。だが、仮に、この「宝の鍵」が、「ルビー」との交換以外であっても容易に入手できるのであれば、対価発行の要件も争えそうだ。だが、私はこのLINE POPのゲームをやったことがなく、この点がよく分からない。

しかし、権利行使があるといえるのだろうか(第三の要件の具備が争点)。

一般に、ゲーム内のコインでガチャによって得られたアイテム等は「権利行使」の要件を満たさないといわれている。すなわち、これらアイテム等は既にゲーム内で完結して使用するアイテムであって、これらアイテム等は更に何かを得るために使用する類のものではないと考えられているからだ。したがい、この争点に対する判断は、「宝の鍵」が宝箱を開けるアイテムなのか、それとも宝箱の中のアイテムを入手するための「権利行使」手段なのかといういわば評価の問題に帰着する。

たとえば、「一万ペリカ(商品券のようなもの)」というものを使用し「ビール(ユーザーの目的物)」を入手する場合に、「ビール」を入手したら「一万ペリカ」が消滅してしまう場合には、「権利行使」に値するといった評価ができよう。「1万ペリカ」を入手するために、現金1000円を支払い、「帝愛商品券1万ポイント(これまた商品券のようなもの)」を購入し、これをもって支払わなければならない場合であっても、この評価に影響を与えることはないと思われる。ペリカ保持者を保護する必要性は依然として存するし、ペリカ保持者と帝愛商品券保持者双方ともに保護する必要性を否定するものではないからだ。これに対し、「帝愛商品券1万ポイント」の利用方法は、「一万ペリカ」を介しての「ビール」しかありえない状況であれば、「一万ペリカ」自体はいわば「帝愛商品券1万ポイント」の権利行使過程でしかなく、それ独自の保護を与える必要はないといったことも議論できそうだ。

だが、上記同様だが、私はこのLINE POPのゲームをやったことがなく、この点も肯定したと思われる関東財務局の判断につき特に異論を述べられる立場にない…(なら、なぜこのブログを書いているのだと言われそうだが、要するにどのように「宝の鍵」を入手して、使用できるのかという事情がこれら3要件の認定に影響を与えるということが言いたいのだ)。

 

継続的にサービスを続け、新規ユーザーの獲得・既存ユーザーの維持をしなければならないオンラインゲームの特性上、ゲームの機能のアップグレード・変更は日常茶飯事である。LINE POPのゲームも「宝の鍵」の入手方法や使用方法についてもきっとどこかで変更があったのだろう。LINE内部にもインハウスの弁護士がいると聞くが、どのように対応したのだろう。また、関財の調査が入ったときもどのように応対したのだろうか、気になり、これを妄想しながら、今晩は寝ることとしよう。

 

日本 – 保険業法:保険商品開発(そして、ブラジル…)

日本の生命保険会社が、保険新商品を日本で販売するに当たって、留意すべき法的規制には何があるか?

関連する法令:保険法・保険業法・消費者契約法

日本の生命保険会社(業法第3条第4項)となるためには、以下の書類を免許申請時に提出しなければならない(業法第4条)。そして、一般的にこれら書類の記載事項につき変更が生じた場合には、新たに認可の取得(法第123条第1項)またはあらかじめの届出(同第2項)をしなければならない。

  1. 免許申請書(商号、資本金の額、取締役及び監査役等の指名等記載)
  2. 定款
  3. 事業方法書
  4. 普通保険約款
  5. 保険料及び責任準備金の算出方法書

なお、ここでいう普通保険約款には、以下の事項を記載しなければならない。

  1. 保険金の支払事由
  2. 保険契約の無効原因
  3. 保険者としての保険契約に基づく義務を免れるべき事由
  4. 保険者としての義務の範囲を定める方法及び履行の時期
  5. 保険契約者又は被保険者が保険約款に基づく義務の不履行のために受けるべき不利益
  6. 保険契約の全部又は一部の解除の原因及び当該解除の場合における当事者の有する権利及び義務
  7. 契約者配当(法第百十四条第一項 に規定する契約者配当をいう。)又は社員に対する剰余金の分配を受ける権利を有する者がいる場合においては、その権利の範囲

なお、これに対し、ブラジルではほぼすべての場合において許可取得の対象となるといい、ブラジル人弁護士によれば、この規制は各国を比べてみても厳しい規制と言われるものの、さほど日本との大きな差はあるように思われない。ブラジル規制当局が、demandingであり、また、bureaucraticであることを除けば…。

日本 – 法律事務所の内部から…

日本には大手法律事務所と言われる法律事務所がいくつもある。

法律事務所内での利益配分ということはあまり話されることが多くない。法律事務所がどういう組織なのか、またどういう分配をされているのか、あまり対外的に公開されている情報が多くないことから、ここに自分が、日本の法律事務所・アメリカの法律事務所・コロンビアの法律事務所・ブラジルの法律事務所と渡り歩いてきた経験から、また、現地で知り合った弁護士等を通じて話し合った結果、ここで話せる限りの内容をシェアできればと思う。

I – 大手法律事務所のなかの弁護士とその役割分担

大手法律事務所では、パートナーとアソシエイトという弁護士がいる。大雑把に言ってしまえば、パートナーは案件を責任をもって担当できる弁護士、アソシエイトはそのパートナーをサポートする弁護士だ。当然のことながら、責任が伴う分、パートナーの報酬が多いことがほとんどである。

そのパートナーのなかにも二種類のパートナーがいる。エクイティ・パートナーとノン・エクイティ・パートナーの二種類だ。エクイティ・パートナーは、当該法律事務所のビジネスのオーナーである。日本法にそくしていえば、当該ビジネスが(民法上の)組合契約(*1)に基づき成立しているのであれば、組合持分権を保有しているパートナーということである。

*1 西村あさひ法律事務所のサイト上に、西村あさひ法律事務所は、弁護士法に基づく西村あさひ法律事務所と組合契約に基づく西村あさひ法律事務所の共同事業である旨の明記がされている。(2017年12月追記:上記サイトはリンクが切れている)

組合持分権を保有している場合、組合利益の配分を受け取ることができるということになる。もっとも、事務所の利益が上がった場合、それに応じて、ノン・エクイティ・パートナーの報酬もあがるとされているのが通常である(もっとも、これも個々の組合契約の内容によるので、一概には言えない)。

徐々に弁護士人数が増えるに連れて、どの国でもパートナーになる年次(アメリカはあまり年次を意識させないが…少なくとも経験年数はどの国でも意識させられる)は遅くなっているものの、おおよそ10年から15年ほどでアソシエイトからパートナーになっていくのが、通常のキャリアのように思われる。

II – エクイティ・パートナーの配分

エクイティ・パートナーという立場が、法律事務所内における「ある種」の最高の地位にある。少なくとも、事務所経営が右肩上がりとなっている状況においては、事務所の成長が自分への利益に直結するので、美味しいポジションともいえよう(この右肩あがりというのもなかなか一概に言えないので、どう表現するのかは難しいのだが…)。

エクイティ・パートナー間の配分方法は、各種事務所で異なるのだが、大きく分けて二つの配分方法がある(なお、小規模法律事務所では、組合持分権割合に応じて、固定の割合)。一つはロックステップ方式(Lockstep)、もう一つが自己稼ぎ優先方式(Eat What You KillまたはSource of Origination)とも言えよう。

ロックステップ方式は、新パートナーが組合契約に加入するときに、当該新パートナーに一定のポイントを付与する。時間が経つに連れ、新パートナーも、次の報酬レベルに到達するまでに、追加のポイントを取得する必要がある。ここでの最大の報酬レベルに到達するまでの期間を指して、ロックステップピリオドといい、10年ロックステップといったり、7年ロックステップといったりする。イギリス系の法律事務所に多い。

自己稼ぎ優先方式は、パートナーは事務所全体の利益のほかに、自身が案件を開拓した場合その開拓した案件からあがる一定の利益も受け取ることができるという方式である。これは、アメリカ系の法律事務所に多い。ブラジル系の法律事務所もこの方式による事務所が多いと伺っている。日本もどちらかといえば、こちらが主流派のように感じるが、日本の法律事務所に関する統計はもちろん、それに類する情報は入手していないので、筆者の肌感覚に過ぎない。

 

 

 

 

 

日本 – 担保物権総論

担保物権においては、さまざまな用語が出てくるので、ここで自身の頭の整理もかねて、記載しておきたいと思う。

I – 担保物権の性質

日本法上、留置権や先取特権、抵当券、質権等存在するが、多くのものがこれら性質の理解のもとに整理することが可能である。

  • 付従性:担保物権は、被担保債権があって初めて存在し、被担保債権が弁済等により消滅すれば消滅するという性質をいう。
    • 将来債権に対する担保等で問題となる。
  • 随伴性:担保物権は、被担保債権が他人に移転すれば、それに伴って移転するという性質をいう。
    • 債権譲渡や元本確定前の根抵当保証等で問題になる。
  • 不可分性:担保物権者は、債権全部の弁済を受けるまで目的物の上に権利を行使しうる(民法296条、305条、350条、372条)という性質をいう。
    • 留置権者が留置物の一部を債務者に引き渡したとしても、残部に留置権を行使しうる。
  • 物上代位性:担保物権者は、目的物の売却・賃貸・滅失・毀損等により債務者が受ける金銭その他の物に対しても権利を行い得る(304条、350条、372条)という性質をいう。
    • 債権譲渡後の物上代位の可否(304条にいう「払渡し又は引渡し」に債権譲渡が含まれるか否か):(判例)含まれない
      • 例えば、抵当権の賃料債権に対する物上代位に関し、抵当権者は、債権譲渡後であっても、当該債権を差し押さえて物上代位できるとする。
    • 保険金請求権や、共同抵当・弁済による代位等でも問題になる。

II – 担保物権の効力

  • 優先弁済的効力:債務の弁済が得られないときに、目的物を換価したうえで、他の債権者に先立って弁済を受けうる効力
  • 留置的効力:担保物権者が、目的物を手元に留置し、債務者に心理的圧迫を加えることにより債務の弁済を促す効力

III – 整理

法定担保物権

約定担保物権

留置権

先取特権 質権 抵当権 確定前の

根抵当権

確定後の

根抵当権

付従性

×

随伴性

×

不可分性

物上代位性

× 原則○ *3

優先弁済権 ×*2

留置的効力*1 × × ×

×

*1 担保物権中、留置的効力を有するのは留置権と質権のみ

*2 留置権は他の担保物権と異なり優先弁済権を有しない(間接的に弁済を強制する)

*3 一般先取特権の目的物は債務者の総財産であるため、物上代位は問題にならない(なお、特別先取特権は物上代位性を有する)

 

 

日本 – ディストレストM&A

昨今の日本では、倒産・事業再生の実務において、スポンサーの資金を利用した事業価値の現金化が頻繁に行われており、これを利用するためのツールとしてM&Aは欠くことができないものといわれている(柴田義人・The Lawyers July 2015・26頁以下『M&Aによる企業価値の現金化と債権者の権利』参照)。

ディストレストM&A・すなわち、財務面の窮地に陥っている会社を対象会社とするM&Aは、(1)事業価値を現金化し、そして、(2)債権者への弁済原資を確保するための手法の一つといえよう。

I – 一般のM&AとディストレストM&Aの違い

一般のM&Aは、時間を買うともよく言われる。事業を拡大するための局面において、それに必要なノウハウ・技術・人材・施設の取得等を可能にする手法だ。ディストレストM&Aにおいても、買主の意向としては、それを含むものであろう。しかし、売主(株主または対象会社)としてはどうか、対象会社の債権者としてはどうか、従業員や取引先はどうだろうか?また、裁判所等の法的機関の関与が含まれる以上、手続が同じように進むわけはない。よく言われる違いをあげると以下のとおりである。

  • 契約時に負債が確定していない
    • ディストレストM&Aを行う際には、対象会社は債務超過に陥っており、この減免の交渉を行わざるを得ない状況である
  • 失権効がある=簿外債務・偶発債務
    • 所定期間内に債権の届出をしなかったら、当該債権は、「原則として」消滅(会社更生法第204条第1項、民事再生法第178条第1項)
      • 例えば、再生債権者の責任に帰することのできない事情により届出ができなかった場合には、その事由が消滅した後1ヶ月以内に限り、追完が可能(民事再生法第95条第1項)。届出機関が経過した後に発生した債権については、その権利が発生した後1ヶ月以内に届出をしなければならない(同条第2項)。
  • アーンアウト等ポストクロージングの価格調整は、通常使いにくく、また、売主への表明保証責任や補償義務を負わせることが難しい
    • 債権者への配当後売主が無資力になることになりやすい
    • 100%減資と増資を組み合わせて債務者対象会社の法人格を生かす場合は、最終的には売主自身が買主の子会社になる
  • 評価基準日からクロージングまでの期間が比較的長くあくことがある
    • 裁判所による手続関与
  • 買主と債権者との利害対立が明確になることが多い
    • 上記ポストクロージングの価格調整等が実効しにくいこともあり、価格が買主にとって最大のリスク管理となる

II – 手続

上記ディストレストM&Aを日本でやろうとした場合、考えられる手続は以下のとおりである。

  • 私的整理手続
    • 事業再生ADR
    • 私的整理に関するガイドライン
    • 中小企業再生支援協議会
    • 地域経済活性化支援機構
    • 特定調停
  • 法的整理手続
    • 会社更生手続
    • 民事再生手続
    • 破産手続
    • 特別清算手続

いずれも各種特徴があるが、手続が多数決による権利変更なのか全員同意なのか、失権効は、法定の民法や会社法の適用を受けるのか、裁判所の関与の度合いや、事案の公表の有無、対象債権者(私的整理手続においては、原則として金融債権者のみが対象)といった違いを考慮していく必要があろう。

安全保障法案の行く末 – 決議結果(衆議院・参議院)

衆参両議院議員の行動を記した東京新聞の記事(2015年9月20日・ウェブ版)。リンク切れ等の懸念を考え、下記にも貼り付けておく。個人的には以前より応援していた松田公太氏が賛成に投票していたことが残念だった。付帯決議により全て事前国会承認事項となったのであろうと、憲法改正手続を踏まえてほしかった。「国会への歯止めがより強固に」と同氏のブログ(2015年9月19日付)にて記載されているが、そうであれば、より憲法解釈に慎重な立場であってほしかった。

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