ブラジル – IP:特許

ブラジル法と日本法の「特許」概念について整理しておく。ほぼ同じというのが結論。もっとも、審査のなかみまで触れていくと実情は異なってくるのだが、それはまた次回以降にでも触れることとしよう。

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ブラジル – IP:産業財産権制度・はじめに…

ブラジルの知的財産法制度について概観してみることとしよう。訴訟と同じく、特許の審査に時間がかかり、場合によっては10年もかかるといわれたり、INPI(ブラジル特許庁・Instituto Nacional da Propridedade Industrial)の個別の対応に関する不安・不満をうかがうことも多いところ、具体的にはどうなのだろうか。

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ブラジル – オリンピックを終えて(そして2020年)

昨晩2016年8月21日(日)にオリンピックの閉会式があり、パラリンピックはまだ9月にあるものの、オリンピックは閉会し、ひと段落となった。20日(土)の男子サッカー決勝(ドイツ・ブラジル戦)におけるブラジルの勝利・優勝(1対1のすえPK戦5-4)、そして、21日(日)の男子バレーボール決勝(イタリア・ブラジル戦)におけるブラジルの勝利・優勝(試合自体は比較的均衡する場面も多かったものの、セット数3対0の圧勝)は見事だった。双方ともサンパウロにあるバーでテレビ観戦していたのだが、女性客の声が強く、また激しかったのが印象的であった。ということで、ブラジルにおけるオリンピックを振りかえることにしよう。

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雑感 – 海外の法律事務所に日本人弁護士がいること

自分自身、海外にいて、もうはや4年目となる。

企業法務の日本人弁護士が海外にいる期間は、通常留学1年間+数ヶ月から1年間程度の研修というところ、自分はずいぶん長期にわたって海外生活をやっているなと思うこともあり、また、自分自身のキャリアとしてこれで正しいのか、ベターな選択が出来ているのか不安に思うこともある。海外にいても、自分が現地のひとと同様の生活、同様の仕事が出来るわけでもなく、自分ならではのオリジナリティを生かしつつの生活、仕事となり、(比較対象可能な仕事やキャリアがないまたは少ないことから)これで自分が成長できているものかどうか不安というのは常に付きまとう。

ということで、将来自分の足跡を振り返るときのためにも、今残せる雑感を自身の備忘録代わりに残しておきたい。留学に関しては、いろいろな人がいろいろなように書いているので、今回は米国とコロンビアといった海外法律事務所での研修について触れておくこととしよう。あまりにも雑記で、インターネット上で公開するには適さないかもしれないが…。

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ブラジル – 税務:略称のまとめ

ブラジルの税金は複雑で、連邦・州・市とあり、その種類だけで50以上あると言われている。現地で税金に関する問題を聞いたときも、ぱっと聞くだけでは、略称しか話されておらず、まだまだ未熟な私は混乱する。「IRPJは…」「IEは…」と単語を聞いただけでピンと来るように、ここで略称を一挙に整理しておこう。なお、ブラジルの連邦税務当局・連邦国税庁(Receita Federal do Brasil)のホームページはこちら

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ブラジル – Do what’s expected as expectedは難しい

ブラジルでは、日本人にとって当たり前のことが当たり前ではなくなる。もちろん、ブラジルに限らず、日本国内であっても、対アメリカであっても、対コロンビアであっても、その「当たり前のことが当たり前ではなくなる」ことは多々あるのだが、その頻度がより増すように思え、ここに、ブラジル人でない日本人弁護士且つ日本のビジネスに対する理解度が高い者が、ブラジル法法律事務所にいる意義があると思っている。

そこで行うのは、日本のビジネスと日本法にとっていえば当たり前という議論をあらかじめブラジル人弁護士または日本側になるべく幅広くインプットするということになる。

いくつか体験した事例を法的なものもそうでないものも交えてここで記録がてら残しておく。

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ブラジル – オリンピック開幕と現状

ブラジルのリオデジャネイロでオリンピックが開幕した。テロが怖い。高い犯罪率。地元住民の最低賃金に照らし、高額なチケット。現地警察や消防員への給料の遅配。なかなか終わらない現地会場設営準備。工事やその他急速な開発に伴う環境汚染等問題を挙げていけばきりがない。ただ、お祭り好きなブラジル人のこと、必ず成功へ導いてくれるものと信じている。ということで、ブラジル・サンパウロに住むものの視点ということで、現状のオリンピックの状況を残しておく(8月8日時点・オリンピック開幕は8月5日(金))。

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(サンパウロではなく)リオデジャネイロでのオリンピックといえども、各国の選手が事前合宿や事前調整をリオデジャネイロ以外のブラジルの地で行い(例えば、日本でいうとラグビーや競泳チームの一部がサンパウロで事前合宿を行っていた)、やはりオリンピックは国を挙げての大きなイベントなんだと日々実感するばかりである。

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法律事務所による法律事務所の買収

2016年8月びっくりしたニュースが飛び込んできた。日本の大手法律事務所の森・濱田松本法律事務所がタイの大手法律事務所を買収するというのだ。海外の法律事務所が、他国の法律事務所を買収するといった話はいままで聞いたことがあった。例えば、欧米型のパートナーシップ携帯を取るといわれている中国のKing & Wood法律事務所は、2012年にオーストラリアのMallesons法律事務所を買収し、King & Wood Mallesonsになった。この前、自分が訪れたBrigard & Urrutia(コロンビア)はチリの法律事務所を買収し、南米におけるプレゼンスを強めているといった話を伺った。

しかし、日本の法律事務所による他国の法律事務所の買収といった話は、私が知る限りでは「初」である。

というところで、世界の法律事務所の買収に目を向けつつ、日本の法律事務所のグローバル化について考えてみたいと思う。

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ブラジル – 消費者保護法制の日本との相違点・具体例

ブラジルにも消費者保護法制はある。消費者は事業者に比し保護されるべきものだ。事業者は消費者に対しよく説明しなければならない。といったおおまかなコンセプトは日本と同じだ。ただ、各論に入ったりすると、違いがあるので、「同じ」消費者保護法制があると言い切ることはできない。

その具体例の一つが消費者に対する契約だ。ということで、ここで取り上げてみる。

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