語学力:日本語・英語・その他言語

日本で業務をしていると、日本語を使う機会が多い。いかに多国間取引の業務に多く携わるといっても、英語を使う機会は、メールや文書といった読み書きが多数で、それに次ぐのが電話といった二者間のコミュニケーション、会議・電話会議においても3当事者間以上でコミュニケーションがなされる場は比較的少ない。

というところ、母語以外において3当事者間以上でのコミュニケーションがなされる機会が少なくて、困っているというのが今日のテーマ。

語学につき、以下のような5レベルに分けるという記述を見た(ダイヤモンド・オンライン)。

1:海外旅行会話レベル

2:日常生活会話レベル

3:業務上の文書・会話レベル

4:二社間折衝・交渉レベル

5:多数者間折衝・交渉レベル

(※)レベル1から4までは、英検1級やTOEIC900点台後半というように本人の努力次第で到達可能とされるが、レベル5については異次元だとする。

仕事で使う英語は専らレベル3、時折レベル4というのが私の現状である。多数者間の交渉等は日本語でもなかなか生じない。いや、事前に意見を調整し、会議・交渉に臨むといういわゆる日本型のビジネススタイルではそもそも多数者間折衝は生じにくいというのが実態ではなかろうか。

もう少し恐れずに一歩前へ出て戦うことが、レベルを超えた英語力の獲得につながるのだろうか…。

ブラジル – パラリンピック閉会式を見て

ブラジルでパラリンピックの閉会式を見た。午前の飛行機で、サンパウロからリオデジャネイロ入りをして、深夜のバスでサンパウロに戻るという0泊1日の強行軍だ(もしくは車中泊のみともいう)。

としても、100を超える国々の人々が一同に会するこの式典を見て感動した。その思いをいまここで残しておこう。

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謙虚に生きること

数年ぶりに司法修習時代にお世話になった教官と連絡を取った。諸般の事情を考慮し、教官と同じ道は選ばなかったのだが、メールを読んで、修習時代にこのひとを尊敬していた自分に誤りはなかったのだろうと思いなおした。このような人に僕もなりたい。

その教官が常に掲げていたことが、人や事件に謙虚になることだった。司法研修ではその教官から犯人性の事実認定(誰が犯人かを認定する手法)についてよく教わった。DNA鑑定で間違いないといっているのだからといって、そのひとが犯人だなんて断定はみじんたりとも思ってはならない。「DNA鑑定についてお前は詳しいのか」「当該対象となったDNAの採取過程にお前は付き合わせたのか」「書面に書いていることが全て正しいのか」「書面を書いたひとは誰だか知っているのか」「お前は現場にいないんだ。事件は現場で起こっていたんだぞ。もう過去の出来事なんだぞ。それを丁寧に紐解くのがお前の仕事だし、私の仕事でもあるんだ。」。間接事実の積み上げによる認定は、足し算ではない。事実の一つ一つを丁寧に組み合わせる掛け算と足し算と割り算と引き算なんだ。具体例・経験談を交えて何度も教わったあの期間は非常に貴重だった。特捜経験もあり、在外研究もし、英語も上手な立派なキャリアであるのに、誰よりもその物言いや態度はいつも腰が低かった。久々のメールでもそうだった。

さて、ひるがえって私はどうなのか…。

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雑感 – 海外の法律事務所に日本人弁護士がいること

自分自身、海外にいて、もうはや4年目となる。

企業法務の日本人弁護士が海外にいる期間は、通常留学1年間+数ヶ月から1年間程度の研修というところ、自分はずいぶん長期にわたって海外生活をやっているなと思うこともあり、また、自分自身のキャリアとしてこれで正しいのか、ベターな選択が出来ているのか不安に思うこともある。海外にいても、自分が現地のひとと同様の生活、同様の仕事が出来るわけでもなく、自分ならではのオリジナリティを生かしつつの生活、仕事となり、(比較対象可能な仕事やキャリアがないまたは少ないことから)これで自分が成長できているものかどうか不安というのは常に付きまとう。

ということで、将来自分の足跡を振り返るときのためにも、今残せる雑感を自身の備忘録代わりに残しておきたい。留学に関しては、いろいろな人がいろいろなように書いているので、今回は米国とコロンビアといった海外法律事務所での研修について触れておくこととしよう。あまりにも雑記で、インターネット上で公開するには適さないかもしれないが…。

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法律事務所による法律事務所の買収

2016年8月びっくりしたニュースが飛び込んできた。日本の大手法律事務所の森・濱田松本法律事務所がタイの大手法律事務所を買収するというのだ。海外の法律事務所が、他国の法律事務所を買収するといった話はいままで聞いたことがあった。例えば、欧米型のパートナーシップ携帯を取るといわれている中国のKing & Wood法律事務所は、2012年にオーストラリアのMallesons法律事務所を買収し、King & Wood Mallesonsになった。この前、自分が訪れたBrigard & Urrutia(コロンビア)はチリの法律事務所を買収し、南米におけるプレゼンスを強めているといった話を伺った。

しかし、日本の法律事務所による他国の法律事務所の買収といった話は、私が知る限りでは「初」である。

というところで、世界の法律事務所の買収に目を向けつつ、日本の法律事務所のグローバル化について考えてみたいと思う。

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個性

私は、日本生まれ日本育ちの日本男児であり、日本国法・米国NY州法弁護士であり、家族を持ち、アメリカや南米で生活をしたことがある(またはしている)。弁護士といっても、企業法務を中心とする業務を行っており、個人を顧客とした案件に関する経験は数少ない。

人により、また場所により、これらの個性をプラスに受け止めたり、マイナスに受け止めたりする。自分では自分の人生に誇りを持って生きようとしているものの、どのようにこれを伝えるのかというニュアンスは非常に大事だということを日々意識しなければ、人からの共感は得がたい。当たり前のことになるのだが、話す相手によって、当然前提となる知識や認識に違いがあり、それを理解しつつ、話すということは簡単なように見えてもなかなか難しいこともある。

ということで、自戒の念をこめて、個性を強調すること、それを伝えることの難しさと大切さをここに残しておく。

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M&A league – Latin Lawyer

Latin America M&A League

ラテン・アメリカでのM&A法律事務所はどこが有名なのだろうか。その確認に有用なツールの一つがLatin Lawyerである。2016年においては、5月上旬ころに、各ラテンアメリカの法律事務所につき、昨年2015年のM&Aの実績を発表した。

  • ブラジル
    • 4年連続で、Mattos Filho法律事務所が件数・取扱金額ともに1位であった(22件・87428百万米ドル)。2位以下には、Machado, Meyer, Sendacz e Opice Advogados(19件・20397百万米ドル)、Pinheiro Neto Advogados(15件・11544百万米ドル)、BMA(14件・20397百万米ドル)、Demarest Advogados(11件・11040百万米ドル)、Veirano Advogados(11件・9009百万米ドル)、Tozzini Freire Advogados(8件・11870百万米ドル)、Lefosse Advogados(8件・11544百万米ドル)といったところが並ぶ。
  • コロンビア
    • M&A件数で、Gómez-Pinzón Zuleta Abogadosが2015年の首位となった(13件・8001百万米ドル)。昨年首位であったBrigard & Urrutia Abogadosは取扱金額のみでの1位にとどまり、件数では2位であった(7件・8254百万ドル)。ほかには、Posse Herrera Ruiz、Philippi Prietocarrizosa Ferrero DU & Uríaといったところが上位に名を連ねる。
  • アルゼンチン
    • Marval, O’Farrell & Mairalが件数・取扱金額ともに1位であった(10件・6736百万米ドル)。ほかは、Bruchou, Fermández Madero & Lombardi(5件・3890百万米ドル)、Allende & Brea Abogados(9件・5299百万米ドル)、 Hope, Duggan & Silva、Pérez Alati, Groundona, Benites, Arntsen & Martinez de Hoz、Salaverri Dellatorre Burgio & Wetzler Malbránといったところが名を連ねる。
  • ペルー
    • Rodrigo, Elías & Medrano Abogadosが件数・取扱金額ともに1位であった(8件・1946百万米ドル)。ほかには、上記コロンビアにも名があがったPhillippi Prietocarrizosa Ferrero DU & Uría(7件・金額数は6位以下ということもあり不明)、Estudio Echecopar member firm of Baker & McKenzie International(6件・同じく金額不明)が件数上位に挙がっていた。
  • メキシコ
    • Creel, García-Cuéllar, Aiza y Enriquez SCが件数・取扱金額ともに1位であった(14件・17204百万米ドル)。ほかには、Mijares, Angoitia, Cortés y Fuentes, SC(9件・4162百万米ドル)、Baker & McKenzie (Mexico)(件数は11位以下のため不明・15000百万米ドル)、Ritch, Mueller, Heather y Nicolau, SC(7件・4177百万米ドル)というところが上位に名を挙げていた。
  • チリ
    • Carey(17件・8380百万米ドル)は従前取扱金額も1位であったが、今回の調査ではBaker & McKenzie (Chile)(5件・16675百万米ドル)にその座を譲り渡したものの件数1位は維持した。そのほか上位に名を上げているのは、Philippi Prietocarrizosa Ferrero DU & Uría (Chile)やClaro & Cía、Barros & Errázuriz AbogadosやCariola, Díez, Pérez-Cotapos & Cía Ltdaといったところである。

ラテン・アメリカの近年M&Aエリアで活発な法律事務所を探すことに一助になればと思い、ここに各地域の上位の名前を挙げた。もちろん、これら事務所がベストな法律事務所と言い切るつもりはないが、経験豊富さを示す一つの資料としてあげた。ご参考になれば。

また、2017年にもおそらく5月ころ同じように各ラテンアメリカ諸国法律事務所の2016年の取扱件数・金額を公表されると思われる。機会があればこれも引き続きウォッチしていきたいと思う。

雑感 – 一人のブラジル人弁護士・一人のアルゼンチン人弁護士

最近、サンパウロにて、それぞれ別個に話す機会を持った。

一人を見て、全体を把握しようとするのは、非常に危険な考え方で、私自身は好まず、今回の掲載も「ブラジル人弁護士とは」「アルゼンチン人弁護士とは」といったことを述べる意図は全くない。ただ、そのうちのこういう人に出会ったという記録と記憶は私個人として残しておきたいということもあり、ここではそれぞれをブラジル人弁護士(「B」)・アルゼンチン人弁護士(「A」)と呼んでいる。

海外にいくと、言葉の壁に悩むことが多いのだが、「これは私だけの問題なのだろうか」また「日本人特有の問題なのだろうか」と考え込むことが多い。ところが、BもAも、ポルトガル語はおろか、英語も相当流暢と来た。しかも、私よりも若い。私は海外に住むこと自体は現在で3年ほどで、英語の苦手意識もだんだん薄れてきたのだが、彼らと話すとまだまだ不足しており、ポルトガル語はもちろんのこと、英語も日々トレーニングしなければならないという思いに至る。

まだまだ満足のいくレベルに達していない私の英語力。日本語に引きづられて、母音の発音が強く出てしまい、アクセントの強弱もおかしかったりすることがある。知らない分野のことや予想外の質問を受け、焦って話した場合、単語ばかり先走ってしまい、文法が崩れてしまう。彼らとの違いを認識しながら、自分の英語力をどうやって引き上げられるのか考えてみる。

結論からすると、引き続きトレーニングし続けるほかはないのだが、良質の英語を大量に読み聞くというに尽きるような気がする。ということで、TEDBBC(ポルトガル語)を頑張って読み聞きしていこうと決意を新たにしたのであった。

弁護士間の国際競争の時代が近いうちにやってくる。日本法の資格やNY州法の資格やブラジル法(正確にいうとブラジルも州ごと)の資格といった違いではなく、国や資格を超えて、弁護士として、リーガルマインドを持つものとして、説得力という能力を競う時代が近いうちにやってくるのではないかと思うのだ。日本人として、日本法弁護士として、私はクライアントを一歩でも楽に前に進める優れたリーガル・サービス・プロバイダーになりたい。

  • B

ブラジル人弁護士(「B」)との弁護士のつきあいのはじまりは、とあるM&A案件である。Bは、コーポレートを専門とする弁護士で、日本プラクティスにも携わる。買収候補者である日本企業にアドバイスすることも多いBは、1年ほどの海外留学経験があり、日本での勤務経験もあり、多少の日本語が話せるうえ、英語は非常に流暢だ。20歳のころから、企業法務を営む大手法律事務所でインターンとして働き始めた彼は、2016年現在すでに10年のキャリアを持つ中堅・シニアアソシエイトであり、そこそこの規模のM&A案件であれば、彼が中心となって案件をハンドリングする。クライアントとの会議(ポルトガル語であっても、英語であっても)も、彼が、基本的に、議事進行を努め、クライアントの意図を汲み、事情を把握、分析していく。また、必要に応じて、パートナーの承諾を得ながら、事務所のリソース(他チームのアソシエイト等)を使いながら、クライアントのニーズに応えていく。

ブラジルの企業法務で、特徴的と感じたのは、各弁護士が、日本とは違って、高度に専門化されているということだ。コーポレートチームの弁護士は、コーポレートのことを中心に担当するということもあり、労務等ほかの問題が関連する場合は当該分野を専門とする弁護士のサポートが必要となる。もちろん、M&Aの場合は、コーポレートが中心的な問題点となるが、それだけでなく、労務・税務・環境等が入れ混じり問題となることも多いところ、(基本的には、労務弁護士等ではなく)コーポレート弁護士がある種の窓口担当者として問題点を整理し、クライアントに有益な情報を提供する。具体的にいえば、M&Aの案件において、コーポレート弁護士が詳しくない内容に関する会議であっても、会議中議事を進行し、法的用語を噛み砕く形でクライアントの理解をサポートする。

Bは、仕事が正確だ。正確なゆえに、機械的な処理なように感じることもある。たとえば、以前、クライアントが、ブラジルにおけるM&Aの複数スキームの違いについて、質問に来たことがあった。いずれのスキームもブラジルではよくある類型であるが、クライアントとしては、それぞれのタイプのメリット・デメリットを詳しく検討したいようであった。これに対し、Bは、「多少の違いはあるが、それぞれのメリット・デメリットについても、結局は買収の際の契約に手当てにおいて相当のカバーが出来、(この案件ではこちらのスキームを選ばなければならないといった)特筆すべきような違いはない」といった話に終始していたように思える。このとき、クライアントは、言葉としては「Understood」と言っていたが、表情から察するに腑に落ちていないように思えた(これではどちらのスキームにするのか彼で決められないといった表情)。結局、その会議後では、当該案件に即した形で、メリット・デメリットを記載するメモを作成するということで落ち着いたのだが、もう少し丁寧な接し方があってもよかったのではないかと思う。

とはいいつつも、彼の英語の説明・事情確認は丁寧だ。クライアントの英語がわからないと、かならず聞き返す。それも「What?」といった形ではなく、「ここまではこう理解したが、ここからが分からなかった。」という形だ。相手の言っていることの、自分の理解の確認。この作業を怠らないというのは大変勉強になる姿勢だった。自分よりも若いBだが、学ぶべきところは非常に多い。

  • A

Aは、アルゼンチンでは比較的大手の法律事務所に勤めるキャピタル・マーケッツを専門とする弁護士だ。年齢は分からないが、まだ独身で、エネルギッシュさ・フレッシュさを感じるのは、私が二児の父だからだろうか。彼は、サンパウロに来てから1ヶ月も経っていないという、それにもかかわらず、(母語でない)ポルトガル語で自己紹介が出来、ポルトガル語で自国の法制度等について説明ができる。

私はこれを見て衝撃を受けた。私などもう数ヶ月もブラジルにいるが、いまだにポルトガル語には悩まされることが多い。彼は、まだ数週間である。それなのに、あっという間に追い抜かれ、その差は明白である。私などは、レストランで決められないとき、「Ainda não decidí. Você pode recomendar alguma coisa?」とおすすめを聞くこと自体は出来る。しかし、これに対する返事が聞き取れないことが非常に多く、四苦八苦である。自国の法制度の説明も、必死で準備すれば、ポルトガル語である程度は話せるかもしれないが、質疑応答などは不可能だ。彼はこれをこなした。彼の母語であるスペイン語がポルトガル語に非常に近いというのもその理由にあるだろうが、非常に刺激を受けた。1ヶ月もあれば、母語以外の言語でプレゼンテーションが出来る力を身に付ける者もこの地球上にはいるのだ。

頑張ろう。

雑感 – 私が英語とポルトガル語とスペイン語を学ぶときに考えること

私は、日本人である。大学を出て、社会人になってから、初めて海外で暮らす機会を得た。英語圏とスペイン語圏とポルトガル語圏と。

I – 現状の課題とこれまで

当然の話になるが、日本以外に出た場合、日常生活における日本語の重要性はがくんと落ちる。もちろん、異国の地での日本人との出会いにも格別の思いがあるものの、異国の地では異国の人との出会いが多い。また、日常生活に必要な連絡をするためには、現地語が必要不可欠である。アパートの契約、電気・水道・ガスの契約、インターネットの開設、銀行口座の開設、(もし子どもがいるならば)学校との契約、日々の学校の先生とのやり取り、電気等にトラブルがあった場合の連絡等々。

私は、(日本の法律事務所と会社に加え、)アメリカの法律事務所とコロンビアの法律事務所とブラジルの法律事務所に在籍した経験がある。仕事では、いずれも英語を基本的に使っていた。

(アメリカの法律事務所は当然のことだが)コロンビアの法律事務所とブラジルの法律事務所の職員は大方英語が上手である。スピーキング・リスニングという観点からすれば、並みの日本人よりは遥かにできる。思ったことをきちんと順序立てて話す・聞いたことに対しきちんと応えるという会話能力は(少なくとも私が知る限り)日本人より出来るように思えた。なぜ、ここまで違うのだろう。もちろん、コロンビアの法律事務所とブラジルの法律事務所の職員の多くは、いわゆる上流階級かアッパーミドルと言われる階級に属しており、いい教育を受けていることは間違いない。しかし、それだけではなく、日本語と英語の違いに比べ、スペイン語・ポルトガル語と英語の違いは大きくないといったところや、日本での英語教育環境に問題が大きくあるような気がする。

(今は違うが、私のころは、)日本人は中学から英語を習っていた。中学3年間・高校3年間・大学2年間と習う。その後、私は大学院に進み、社会人に入り、(業務の100%というわけではないが、それなりの割合において)英語を仕事でも使い、海外留学を経て、ニューヨーク州司法試験を合格し、日本人ひとりという職場環境を2年ほど体験しているものの、いまだに全て英語でうまく話せるわけではない。緊張すれば、てんでばらばらの文法を話してしまうこともままある。相手の言っていることを聞き間違えたりもする。書面では確実性が重要視されることもあり、また、時間を取って反応することができることが多いため、間違える可能性はグンと減ってくるものの、完璧な英語かと言われるとまだまだ自信がない。発音は日本人英語で、母音が強くまた長く発音してしまう癖はなかなか抜けない。英語を読むと、カタカナをあててしまう癖もなかなか抜けきらない。”strong”を「ストロング」と考えてしまうのでは、英語を英語として認識できない脳があることが分かる。ストロングでは”sutorongu”であって、”strong”ではないのだから。子音の発音(とその違い)を意識するとともに、アクセント以外の母音の発音は意識的に小さくまた短くしていかないとだめだろう。英語に比べると母音の発音が比較的強めなポルトガル語においても、同様に注意していく必要があるだろう。

というところで、いまはブラジルに住んでいるので、家族の生活を支えるため、また生活を楽しむためにもポルトガル語の上達は喫緊の課題なのだが、英語もまだ引き続き課題でもある。

II – ではどうやって今後を伸ばしていくのか

語学は筋肉トレーニングのようだとよく言われるし、自分自身もそう思う。トレーニングすればするだけ、その部位は強くなり、条件反射も早く、また正確なものになっていく。この2年間で、英語の自己紹介の回数は格段に多く、それはTPOを踏まえたいくつかの通りが出来るようになってきたようにも思う。色々な機会で話す機会・英語で思考する機会は今後も積極的に持ち続けたいと思っている。

加えて、自分で自発的にするトレーニングの機会も大事だ。相手のレベルにあわせなければならないリスニングの強化は非常に大事。また、相手の発言を聞き取ったうえでの会話ができるようになることも大事(相手の発言の要約を英語で行うこと)。

単語で覚えるのではなく、一つのセットで反応できるようにする。簡単な具体例でいえば、”I think that”というよく使う一連のフレーズのストックを増やしていく。カジュアル・トーキングであるが、「常識だよ」といった言い回しは、”Everyone knows.” といった形にしたほうがニュアンスは近いとか。また、think・believe・hopeといった単語の使い方、in・at・from・toといった前置詞類の語句の使い方の間違いを減らす工夫も必要だろう。よくある間違いのひとつが、I go to shopping. (“to”は要らない)といったものが挙げられる。

いずれにせよ、母国語以外の多くを読み込み、せっかくいまは個室の執務室があるのだから、声を出して読み、また、よく会話をしていくべきなのだろう。ある道でプロになるためには、1万時間という話がある。1週間に20時間だと500週(10年ほど)もかかってしまう。1週間に30時間でも330週ほど(それでも7年)。いずれにせよ、「継続は力なり」ということで、お酒を飲んだときでも、友達と旅行にいるときでも、家族とともに過ごすときでも、ちょっと頭の片隅に母国語以外の言語を置き、日々考えるしかないだろう(シャドウ・リスニング・スクリプトを長めつつつぶやきつつの映画鑑賞・洋書の読み込み)。勉強時間を記録していくのも、いいだろう。と、とにかく頑張ろうと。

 

 

雑感 – 人生は他人から教えられることの方が遥かに多い

私は白陵高校の卒業生でもないが、また、本ブログは、アメリカ法およびコロンビア・ブラジル法といったラテン・アメリカの諸国に関する情報を掲載する目的であったので、目的にも反するのだが、同高創設者の三木省吾先生の「同窓会のみなさんへ」のことばがすばらしかったので、ここに紹介する。

外延道路に高く聳(そび)える欅の並木は樹冠を空にさし伸ばし、すでに巨木の風格を備えて見えます。

私は、どうか皆さんのひとりひとりが、それぞれの場でこの欅のような巨木になられることを祈ってやみません。

今、自分の人生の中で、多少かげるのある時期にある人も、逆に高揚の頂点におられる人も、これは長い人生の一時期に過ぎないと観じて、新しい目標に向かって、一歩一歩。真摯に生きて行こうではありませんか。

人生は他人から教えられることの方が遥かに多い。良き先輩を持ち、また良き後輩に恵まれる。これが白陵の同窓会の特色でありましょう。

どうか、卒業生のみなさんが、相い寄り、相い助け合って、各地域各職域に支部をつくり、それが枝葉となり、根を張り、幹を太らせて、白陵という巨木が、末永く聳えることを心から願っております。

弁護士となっても、人の親になっても、経験をいくらつんでも、他人から教えられることの方が遥かに多い。常に、謙虚に、また好奇心を持って、新しい分野を恐れず、開拓者精神を持って、このブログの掲載も長く、少しでも、他人から教えられたことを広められるよう、日々これ努力あるのみだと思い直した。

また、自分自身はほとんど空っぽの入れ物と評した伊丹十三の「女たちよ!」を思い出した。

何か新しい知識を得られることは楽しい。まるで新しいおもちゃを手に入れたときのような高揚感もある。その新しい知識を使いこなし、人から感謝されるときなどの嬉しさといったら、なかなかたとえようがない。しかし、その知識も誰かからの受け売りであることがほとんどなのだ。法律や判例を読み込み、いかに多くの書物を読み込み、そのうえで自分の言葉でつむぎだしたとしても、その「自分の言葉」ですら、誰かから教わった何かそのものか、それを基本に少しのスパイスを効かせたものに過ぎないなのだ。多くの先人のうえ、自分が成り立っているということを常々忘れずに、日々を頑張ろう。