ブラジル:Non-compete(競業避止義務)条項の有効性

日本法上、取引基本契約やJV契約等において、競業避止義務を負わせる規定を入れることはよく検討される。競業避止義務は、通常無制限に有効なものではなく、労働法や競争法等の制約を受けることがあり、当事者の地位や制限する内容・期間等とあわせて検討されることが通常だ。

それでは、ブラジルではどうなのか…。とりあえず、ここでは話をシンプルにするために、競争法の話を除外し、契約法・労働法の観点から考えてみたいと思う。

まず、ブラジル契約法上、契約期間終了後の義務を負わせることに何ら制限的な法令は存しない。ひるがえって、ブラジル労働法上の従業員の権利を侵害するものでない限り、ブラジル契約法上も原則として許されると考えられている。

この点、ブラジル労働法第444条上、労働関係に関し労使間で合意できる事項は、労働者保護に反しない限りとされているため、従業員に競業避止義務を負わせる内容の合意をする場合には、労働組合の関与が不可欠ということには留意されたい。

加えて、ブラジル労働法上の実務において、競業避止義務の限界として、期間のみならず、地理的限界が設けられるのが通常であること、加えて、使用者側のビジネスの利益を守るうえで合理的な範囲に限られているということに留意されたい。また、ある裁判例においては、競業避止義務を負わせる場合において、一定の対価を支払うべきとしたものがあることにも留意されたい。

 

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