ブラジル – 関税・税務:ドローバック制度

ブラジル・サンパウロには、日系企業を中心にした商工会議所、ブラジル日本日本商工会議所(Câmara de Comércio e Indústria Japonesa do Brasil)がある。日系企業が、同業者の親睦を目的に設立されたのが、1926年だ。私自身、ロサンゼルス・ボゴタ・サンパウロの3都市しか海外では居住・就労したことがないが、ここまで活発的な商工会議所はなかなかなく、勉強会・セミナー・その他親睦会とその活動は2016年現時点でも非常に活発的だ。

つい最近そこで、商工サービス省(Ministério de Indústria, Comercio Exterior e Serviço)の役人を招く形で、ドローバック制度に関するセミナーが開催されたので、その内容について説明しておこう。なお、配布資料のリンクもこちらにて両言語分(日本語ポルトガル語)貼っておく。当日は、Câmara会員企業200社が参加したほか、自動車部品工業会(Sindipeças)からも50社ほどが参加し、大変大きなセミナーであり、各企業の関心度の高さが伺える。

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ブラジル – 裁判:裁判見学(サンパウロ州高等裁判所)

ブラジル・サンパウロ市にて、サンパウロ州高等裁判所の裁判を見学してきた。サンパウロ州高等裁判所はセ広場そば(セ・カテドラルのそば)、USPのロースクールのそばにあり、立地としては旧市街の真ん中にあるといえよう。旧市街は、現在経済状況の悪化に伴い治安が悪化しており(と言われており)、また建物や公共施設の老朽化が進んでいるということもあり、夜間を徒歩で歩き回ることはお勧めできないが、日中の徒歩での歩き回りは(歩きながら携帯電話を使わないといった一定の注意を払えば)問題ないように感じている。

というところで、そんな州高等裁判所の見学状況について説明する。

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日本 – M&A:FinTech事業:ソフトバンク・One Tap BUY

ソフトバンクが最近(2016年7月下旬時点)M&Aで日本を騒がした。ARMという英国会社をおおよそ3.3兆円という日本企業が行う史上最大規模のM&Aを行ったからだ。というなか、ソフトバンクが、既に2016年3月に、スマートフォンでの利用に特化した証券会社 One Top BUYという日本の証券会社に出資した。

以下、日系FinTechの記事を引用する(原隆氏・岡部一詩氏)。そのうえで、本件の法的問題点について考えてみたいと思う。

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ブラジル – 消費者保護法制

2016年7月現在のブラジルは景気が悪い。しかし、日本の2倍近い人口、今後も見込まれる人口増大、購買力の強い中間層人口増への期待等から、ブラジルでの市場を期待する企業も少なくはなく、またいまも市場開拓に向けて日々行動を実施されている企業の皆様も多い。という皆様のお役に立てればということで、現在調べたところによる、ブラジルにおける製造物責任について説明をする。

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ブラジル – 労務:従業員等の雇用

以前、ブラジル労働法の概要について触れた。CLTという労働基本法ともいうべき法律があることや、給料は13ヶ月分(クリスマスボーナス)支払わなければならないということや失業保険に相当する積みたて(給与の8%相当額)の義務等ブラジルコストがあることも触れてきた。

ここからは、一般論というよりは少し踏み込んで、雇用を開始する時またはその事前準備について触れてみたいと思う。これから、ブラジルにて従業員を雇用している場合または雇用しようとおもう日本企業の少しでもお役に立てればと幸いである。

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ブラジル – エンターテイメント関連法

さて、ブラジルのエンターテイメント関連法ということで、前五回ほど連載というかブログを掲載してきた。ついに、エンターテイメント関連法と言う分野のなかの本丸のところについて掲載していく。といっても、たいした記載はないのだが…(汗)、たいした大きな規制はないというところを書きたいがために、規制があるメディア・広告関連といったところを書いていたところもあり、(大風呂敷を広げたにもかかわらず、おちの部分である本稿がたいしたものではないことにつき)どうかご容赦いただきたい。

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ブラジル – エンターテイメント関連法

ブラジル法上のエンターテイメント関連法ということで、広告関連法の続編についてとりあげたいと思う。なお、インターネットの広告に関しては、以前こちらで述べたこともある。前回述べた広告関連法の総論を踏まえ、虚偽広告の事例とトレードマーク・著作権との関係について触れておきたいと思う。

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ブラジル – 労務:13ヶ月目の給与(クリスマスボーナス)・FGTS

クリスマスボーナス(13ヶ月目の給与とも言われる)については、以前2回ほど触れてきた。

ここで、月次に従業員に対し支払われる金銭のほかのものであって、二回に分けて支払うことが可能であり、具体的には、2月から11月までの間の1回と12月の1回の計2回であると述べてきた。もう少し、この特殊なブラジルにおけるクリスマス・ボーナスやFGTSについて改めて触れてみたいと思う。

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ブラジル – 労務:労働組合

ブラジルでは労働組合が強い。ストライキも盛んだ。私が2015年9月から来ているが、ほぼ毎月何かしらの分野でストライキが起こっている印象だ。公共交通機関・銀行・税関・病院・学校等各種業種ごとに起こるストライキは、日本人の私からすると異様なように見えたが、この国では普通のことらしい。知り合いのブラジル人に言わせれば、まるで季節の風物詩かのように、「あぁ、この時期は○○のストライキが多いんだよ。」となかばあきらめ感をただよわせながら語っていたことが印象深い。さらには、ストライキ期間中であっても、給料は支払わなければならない(いわゆるノーワーク・ノーペイの原則はブラジルではそのまま主張できない)。さてさて、このようにブラジルの強い労働組合について、もう少し記載してみよう。

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ブラジル – 労務:訴訟

ブラジルでの労務は訴訟が多い。法律が労働者保護よりなことはもちろん、裁判所の判断も労働者よりなことが多く、成功報酬型で原告をつのる弁護士が多いこともその理由としてよく挙げられている。というところで、ブラジルの労働裁判について触れておきたいと思う。

なお、労働裁判とは、民事裁判とは異なる特別裁判である(日本では労働審判というものがあったり、民事裁判所において労働事件集中部というものがあるが、これは選択的にこれらにおいて訴訟等を起こすことを可能にするのに対し、ブラジルでは労務関連の裁判は労働裁判においてのみ行われる)。

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